Midori Nishiura
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「メアリー・カサット展」横浜美術館 華麗にオープン!

2016年6月24日

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建築家、丹下健三氏の設計した重厚と優雅が見事に調和した空間、あの美しい横浜美術館にて開催されたメアリー・カサット展の内覧会とレセプションに行ってきました。カサット(1844~1926)は、印象派を代表するアメリカ人女性画家。21歳でパリに渡り、エドガー・ドガと運命的な出逢いをとげたことにより、印象派展に参加するようになりました。
当時は、女性の職業画家が少なかった時代です。あらゆる困難があったと思いますが、すべて乗り越えて、生涯独身を貫き、画家として生きました。なかでも、母子をたくさん描き、「母子像の画家」と呼ばれていたそうです。女性ならではの温かい視線で捉えた日常の母子の姿は、柔らかくて明るい色彩、軽やかなタッチ、観る人を魅了します。
日本では35年ぶりの回顧展。お見逃しなきよう!9月11日まで。

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こちらのフライヤーに用いられた作品「桟敷席にて」(34歳ころの作品)は、コメディ・フランセーズ劇場で、マティネー公演(昼の部)を、我関せずとばかりに、ひとりで芝居に集中している婦人と、彼女のことをオペラグラス越しに見入る男性が描かれています。19世紀のパリでは、オペラ座や劇場は格好の社交場で、あらゆる階級の女性たちが、これまたあらゆる目的で着飾り、まるで男性のための”鑑賞物”であることを競うように存在した時代です。現代女性として、自分のためにオシャレをする自由を謳歌できる私としては、なんとも腹立たしい風習に感じますが、そうした古い時代でも、カサットの描いたこの女性のように、男性の視線をいっさい気にせず芝居に熱中する女性もいたのですから、小気味よさを感じます。しかし、よーく見ると、白い極薄レースの手袋をつけているではありませんか!当時は、手袋着用はレディーとして欠かせない装いの一部。夜ともなると、必ず肘より高い、子ヤギ(キッド)の革でできた白手袋は必至アイテムでした。昼間でも、短い手袋をしますが、肌が透けて見えるレース状のものをつけているところにも、このご婦人の、時代の仕来りに挑戦的といいますか、進歩的な部分が感じ取れる気がします。今で言うところの、”ハンサム・ウーマン”でしょうか。そうした女性を描いたカサットの心情が理解できます。
もうひとつ、私の好きなカサットの作品で、「夏の日Summertime」があります。いろいろな光を放つ穏やかな池の水の描き方は、まるで浮世絵を感じさせることから、彼女が浮世絵から大きな影響を受けたことが伺えます。
ぜひ、観に行ってみてください、オススメです!

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開会式の挨拶をする、逢坂恵理子館長。ゲストに語りかけるようなソフトで優しい口調でありながら、内容の充実したお話しに引き込まれました。装いもそうですが、すべてに洗練とセンスの佳さを感じ、嬉しくなりました!
下の写真は、舞台上の関係者一同。
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