Midori Nishiura
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春夏秋冬
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カラヴァッジョ展 日伊国交樹立150周年記念 内覧会、国立西洋美術館に行ってきました。

2016年3月1日

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破天荒で奇抜、自由奔放な人生を生き抜いたカラヴァッジョが活躍していた時代から450年後の今、改めて彼の作品を観てみると、その性格や人生のすべてが読み取れるようでした。この人は、普通にしている、淡々と静かに過ごすということは、決してなかったであろうと思わせます。丈夫だったんでしょうねえ・・・芸術家にはふたタイプあって、病弱だけど芸術に心血を注いで早死にする人。あるいは、丈夫そのもの、何事にも精力的にぶつかり、他に思いやることなど一切なく、自分勝手にやりたい放題の人生を歩む人。カラヴァッジョは、言うまでもなく後者。そして、彼以外の同業者、すなわち、画家たちを、どんな巨匠といわれた人たちでさえ、決して褒めなかった・・・どころか、メチャクチャ貶しまくったというのですから、熱い人だったことは間違いありません。想像しただけで、疲れてしまいます(笑)。

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オープニングセレモニーで館長の馬渕明子さんが挨拶をする様子を上から撮った一枚ですが、これでも判るように、今回は、雨天にもかかわらず、たいへん大勢の内覧者で賑わいました。それだけ、この展覧会が待ちに待たれた貴重なものといえるでしょう。

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日伊国交樹立150周年記念についても喜びを語るドメニコ・ジョルジオ駐日イタリア大使。カラヴァッジョが、なんと1951年になってから、ミラノ大規模展覧かにて再発見され、しかるべき評価を受けたことにも触れました。

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この展覧会に足を運びたくなるよう、ひとつだけここに紹介しますが、この作品「スピネットを弾く聖カエキリア」は、オラッツィオ・ジェンティレスキ画伯の作品(ランフランコとの合作)です。なんとも優しいタッチからも、カラヴァッジョの作品でないことは直ぐにお分かりかと。あえて、こちらを紹介したのは、音楽の素晴らしさを改めて実感できる作品だから。音楽の守護聖人カエキリアが、天使の持つ楽譜を見ながらスピネットを弾いています。いつの時代であっても、音楽は平和の象徴。人類から音楽をとったら、この世から音楽がなくなったら、地獄のような恐ろしい世界になることでしょう。

ひるがえって、カラヴァッジョ作の斬首絵画の数々、光と影、力強さ、彼独自の解釈で描かれたマグダラのマリアも必見です。最後に、主催者照明担当の皆様に、大きな拍手を贈りたいです。それぞれ描かれた時代のオリジナル感を出するため、照明によって工夫がなされて、神秘感さえも見事に表現されていました。

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